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参加させていただきました!

今晩は、またまたお久しぶりです(;´Д`)

お題SSもさる事ながら、文章自体を書いていなかった期間がなんと8ヶ月とかね……。
その間、色々なジャンルの小説を読みあさっていましたが、やはり読むだけでは、その場では分かったような気になっていても、いざ書こうとするとなかなか出てこないものです。
皆さんおっしゃってますが、毎日の積み重ねって大事ですよ、本当に。

そんな折に、目に飛び込んできた記事が「5月をもってお題SS終了」――。
ええええええええええ!!!!!!!!!!とか半パニックになり(笑)四月から必死に構想を練るも、結局間に合わず、五月は絶対っ!!!!!!って気合を入れて取り組んでいました。だけど超ギリギリですよ、仕上がったの orz
けれども、何とか無事にお披露目することが出来ました(*´∀`*)人

そして無事にその企画も、大盛況の中、終わりましたね。
ブラインドパーティという素敵な企画を立ち上げ、実行してくださった蓮水さんには、感謝の気持ちで一杯です。
一ヶ月間、本当にお疲れ様でした(*´∀`*)
一年を通してお題SS企画を維持してくださった倉田さんも、お疲れ様でした!!
参加数は始めと終わりという、情けない状態でしたが、楽しませていただきましたm( _ _ )m

最後に……と思っていたら、継続して下さる方がいらっしゃった!!
マトモにパソコンを付けていなかったので、今、知ったという(笑)
これまた素敵な企画のようで、この先も楽しみですね。

しかしまあ、読み返してみると、何だか……。うん、プロットに毛が生えたような状態ですみません(´;ω;`)
しかもSSと呼ぶには長いよって言う、5888字……。その上自分のペンネームすら誤字を打つって orz
そんな稚作にお目を通して下さった皆様、拍手やコメントまで頂けて、とても嬉しかったですっ(///▽///)
コメントは大事に保存させていただきました! 宝物にしますっ(´▽`)

蓮水さんのサイトでは6月15日まで公開して下さりますが、こちらにも作品を転載しておきます。
それでは、参加された皆様、蓮水さん、倉田さん、お疲れ様でした! ありがとうございました!!

5月SS お題:未来


『星降る夜に』

 都会の夜空は、星が遠くに見える。
 その街明かりで霞んだ空に腕を伸ばし、何かを掴んだ素振りをしたのち、掌に薄明かりを灯した。
 幼い頃はこうして星を掴もうとしていた。流れ星が出現する度に願い事を唱えた。
 だが大人になった今では、それは夢想に過ぎない事を知っている。
 咥えた煙草の先からは、白い煙が細く昇って行く。それを眺めながら鷹雄(たかお)は深い溜め息をついた。
 スーツのポケットから一枚のメモを取り出し、目を通す。
 短く記された文を読み返して握りつぶし、そのままスラックスへと突っ込む。
 仕事が終わり自宅へ戻ると、部屋はもぬけの殻だった。一年近く一緒にいたはずのパートナーの姿はなく、このメモだけが残されていた。
 鷹雄は公園のベンチに腰を下ろし、噴水に目を向けた。
 雪遙(ゆきはる)との出会いはこの場所だった。いわゆるハッテン場と呼ばれる場だ。
 そんな所で知り合った二人にしては、長続きした方だと自嘲気味に鼻で笑う。
 外気に触れた煙草の火は、室内にいる時よりも進みが早い。落ちそうになった灰を飛ばさぬよう、携帯型の灰皿を取り出そうとしてポケットを弄る。
 なかなか出てこない灰皿に苛立ちを覚えて立ち上がり、ジャケットを脱いだ時だった。
 複数の駆ける音が聞こえたのと同時に、横っ腹に衝撃を受けた。
 危うく咥えていた煙草を落としそうになったが、歯を食いしばり、ぶつかって来た相手を睨む。
「あっ、す、すみませ……」
 顔を上げた相手に、鷹雄は瞠目した。メモを残した張本人だからだ。
 一方的に別れを強行された上に、こんな所で鉢合わせするなんて最悪だ。
 鷹雄は感傷に浸る暇すら与えられなかった事と、早々に相手を探している雪遙の不躾な態度に、怒りを覚える。
 煙草を灰皿に押し込み「何やらお取り込み中のようで」と、苦々しく言い放ち、その場から立ち去ろうとした。
「あれ、鷹雄先輩ですよね? 助かった、オレはただ、ここがどこかって聞いただけなのに、あのオッサンしつこく付き纏ってきて困ってたんですよ」
 視線の先を追うと中年くらいの男性が、恨みがましくこちらを洞察している。
「は? お前が誘ったから相手が同意しただけだろう。何言ってやがる」
「え、なんで場所を聞いただけで……ってか誘ってるって、どういうことですか」
 鷹雄は、雪遙の言葉使いに違和感を感じて、じっと見つめた。
 一年近く一緒にいて、今まで敬語なんか使われた事はない。このハッテン場で知り合う前は、互いを知らない赤の他人だったのに、先輩呼ばわりされる意味がわからない。
 相手も同じく違和感を感じているようだった。眉間にしわを寄せ、さらに問う。
「鷹雄先輩、今日はスーツなんか着てどうしたんですか? 眼鏡もしてないし、誰かの結婚式とか?」
「眼鏡が必要なほど、視力は落ちてないが? それに俺は、いつも会社に行く時はスーツだろう。着替えないで出てきただけだ」
「え、いや……あの、つかぬことを聞きますけど、斎野(さいの)鷹雄さん、ですよね?」
 流石に不安になった。雪遙に兄弟は居ないはずだ。もしかしたらそれは嘘で、目の前にいるのは双子の兄弟かも知れない。鷹雄は疑問を呈した。
「そう言うお前は、雪遙の兄弟か? 俺のことを知ってるみたいだが、話でも聞いていたのか? 雪遙なら俺に愛想を尽かして出て行ったが」
「えっ! オレ、雪遙ですよ、遠藤雪遙……。ってか、鷹雄先輩って、その……、え、ちょっと待ってください、頭がおかしくなりそうだ」
 雪遙と名乗る男は、かなり混乱しているようだ。鷹雄も同様に困惑を隠せないでいると、遠目に見ていた中年が近寄り、声を掛けてきた。
 しかし、鷹雄はこの不可解な事の真相が知りたくなり、中年男性を諌止する。
「悪いね。こいつは俺の連れなんだ。どうも酔って、あんたと俺を間違えたみたいだ」
 雪遙が声を出す気配を察し、頭を胸板に押し付けると、中年男性は文句を言いながらも去って行った。
 ふと抱き留めた頭の冷たさに驚き、鷹雄は力を緩める。それと同時に、ぶはっと息を吐くが聞こえた。
「い、いきなり何するんですか!」
 雪遙は全身ずぶ濡れだった。雨は降っていない。噴水の中にでも立っていたのかと、疑心暗鬼になる。
 鷹雄が訝しげに見つめていると、雪遙は思いっきりくしゃみを連発した。
「何があったか知らないが、そのままじゃ風邪を引く。取り敢えず部屋に戻ろう」


 
 公園からは歩いて二十分ほどの距離だが、体が冷えるとまずいと思いタクシーを拾う。マンションに足を運ぶと、雪遙は怪訝そうな顔をしてエントランスを見回している。
 鷹雄はその様子を横目で眺めながら思う。雪遙とは同じ名前だが別人なんじゃないか、もしくは頭を打ったか何かして、記憶の一部が欠如した状態なのだろうかと。
 エレベーターを降りた後に部屋に招き入れると、まるで借りてきた猫のようにリビング中をひと通り眺め、棒立ちになっている。
「まずは着替えた方がいい。いや、風呂に入った方が温まるか。っと、着るものは……」
 鷹雄は雪遙の使っていた部屋を物色するが、着替え一つ置いていなかった。
「あ、いえ、何か拭くものを貸してもらえればそれで。ところで鷹雄先輩、さっきから不思議だったんですが、何か文字がおかしくないですか?」
 鷹雄は着替え一式とバスタオルを手渡し、首を傾げる。
「文字がおかしい、とは? ああ、これに着替えてくれ。俺のだけど、今はそれしかないから」
「あ、はい。ありがとうございます。これなんですけど、なんて読むんでしょうか? 電話も圏外で通じないし」
 雪遙は頭をバスタオルで拭いながら、右手の腕時計らしきものを鷹雄に見せる。
 表面のガラス面に触れた途端、映像がホログラムのように浮き出し、居酒屋の看板が投影された。鷹雄は、その見たこともない端末機を見て驚く。
「……何だ、これは」
「やっぱり鷹雄先輩も読めませんか。噴水の中に立っていた時から、変だとは思っていたんですけど」
「いや、そっちじゃない。どんな仕組みになっているんだ? 普通、写真ならこう表示されるだろう」
 鷹雄はポケットを弄り、スマートフォンを取り出す。それを見た雪遙の表情が変わる。
「え、そんな時代遅れの……。どういうことなんだ? そう言えばここの家電だって、資料で見たくらいの古い機種だし……」
 ブツブツと独り言を呟く雪遙をよそに、鷹雄は以前観た映画の内容を思い出していた。それは、近未来的なSFものだった。
 この世界は一つではなく、世界線が無数に存在するという、パラレルワールドが舞台のフィクションだ。
 まさかそんな事が現実に起こる訳がない。そう思いながらも、疑念は膨らんで行く。
「なあ、ユキ。お前はあの噴水に立つ前、どこに居た?」
「どこって……地下ケーブルの調整作業で、ターミナルに入った所までは覚えてるんだけど、気がついたら水しぶきが掛かっていて。オレはてっきり、地下が浸水したのかと思ったけど……」
 その答えで疑念は確信に変わる。鷹雄の知る雪遙の職業は薬剤師だ。そんな作業をするはずもない。鷹雄は映画の話をしてみる事にした。
 雪遙は黙ってその話を聞いていたが、鷹雄が話し終えるとおもむろに口を開く。
「……ということはつまり、ここはオレの居た世界じゃない……ってことですよね?」
「仮定でしかないが、そう考えた方が辻褄が合う気がするんだよ」
「そう、ですよね。だってオレの知ってる鷹雄先輩は、いつもよれよれの白衣姿でスーツなんか滅多に着ないし、眼鏡を掛けている。だけど、話し方や仕草は同じなんだ。違う世界にも同じ人は居るって、小説や映画なんかフィクションではよくある話だけど……まさか本当にあるなんて」
「俺も正直、信じられない。君は俺の知ってる雪遙じゃないが、声も姿も、やはり仕草が同じだ」
 鷹雄がそう言うと、雪遙は暫く自分の居た世界についての話を始めた。
 この世界とは空気の体質が微妙に違う事や、文字は右側から読み進めるのと、使われている文字自体が違う事。こちらの世界ではバブルが弾けた頃くらいに、あちらでは世界的恐慌が起こり第三次世界大戦が勃発したのち、急激な科学的成長を遂げた事など、鷹雄の住む世界では夢物語のような、俄かには信じがたい話だ。
 暫くの沈黙が続くと、雪遙は話題を変えてきた。
「あの……、そう言えばこっちのオレが、愛想を尽かして出て行ったって、言ってませんでしたっけ?」
「えっ、あ、ああ。言ったが……それがどうかしたのか?」
「ということは、仕事関係で? 同じような仕事をしているとか? オレは鷹雄先輩と同系列の仕事をしていて、よく意見の相違とかあるんですけど」
「いや。仕事じゃなくて……プライベートだ」
 雪遙はその答えに一瞬ぽかんとしていたが、意味を理解したのだろう、顔を赤らめる。
「あ、あの、気に障ったらすみません。オレ、そっちのことはあんまりわからないけど、もし喧嘩とかなら……こっちのオレがオレと似たような性格なら、あんまり深刻にならなくてもいいと思います」
「……荷物まで持ち出しているのに、か?」
「鷹雄先輩……って、違う人なのに何か変ですね。鷹雄さんで良いですか?」
「本当にややこしいな。別にそれで構わないよ」
「え、と、じゃあ鷹雄さん、最近忙しかったですか?」
「ああ。今、大きなプロジェクトを任されていてな。今日は一段落ついたから、早めに帰って来たらこの通り、もぬけの殻だったよ。一年近く一緒に住んでいたのにな」
「最近、喧嘩はしました?」
「いや。普段と変わらないようだったが、このメモが残されていた」
 鷹雄は雪遙にメモを渡そうとして、はっと気がついた。
「そう言えば文字が違うんだっけな。それじゃ読めないか」
「あの……嫌じゃなかったら、読み上げてもらえませんか? 無理にとは言いませんが……なんか他人事じゃないような気がして」
 鷹雄は一瞬戸惑ったが、雪遙の真剣な眼差しに意を決した。握りつぶしたメモを広げ、咳払いをすると読み上げる。
「短い間ですがお世話になりました。これからも仕事に励んで下さい。雪遙――としか、書いてないな」
 それを聞いた雪遙は、悟ったように頷いた。
「多分それって、拗ねてるだけだと思います」
「は? 子供じゃあるまいし、そんな馬鹿な」
「鷹雄さんはあまり会話しないでしょう? 必要最低限の話しか、しないですよね? それに何でも自己解決しようとするタイプ。違いますか? 鷹雄さんは鷹雄先輩と同じ感じだから、そう思ったんですけど」
 言われて初めて気がつく。そう言えばこちらの雪遙とはあまり、話をした覚えがない。
「そう、かも……知れないな」
 雪遙は『やはり』といった表情で頷いた。
「それできっと自分は鷹雄さんにとって必要ない人間だと、いじけてしまったんだと思います。オレも……そうだから」
 その瞳は、悲しそうに伏せられていた。
「オレも、もっと素直になっていれば……。鷹雄先輩とはもう……会えないのかも知れないですね。こうなってから好きだって気がつくなんて、間抜けだな……」
 住んでいる世界が違っても、恋人と同じ容姿の人が悲嘆にくれる姿は、胸が締め付けられる。鷹雄は映画のストーリーを思い出し、解決策を考えた。
「まだ会えないと決まった訳じゃないだろう? もしかしたら戻れるかも知れないじゃないか。あの噴水が糸口になるのかも……。行ってみよう」
 鷹雄の提案に、雪遙は顔を上げると微笑み、頷いた。
 

 
 公園に向かおうと、部屋を出た時だった。なぜか空気の密度が、いつもより濃い感じがする。雪遙もそれに気がついた様子で
「あれ? この感じは、オレが住んでいる所の雰囲気に近いような気がするんだけど……」
 不思議そうに呟き、辺りを見回している。鷹雄もそれにつられて、視線をエレベーター付近に移した。モーター音がやけに大きく響いている。この階を通過するのかと思われた扉が開き、鷹雄は息を呑んだ。
「た、鷹雄先輩! どうしてここに?」
 雪遙は、よれよれの白衣を纏った、長身の男へと駆け寄る。目が合うと、黒縁眼鏡の奥にある、漆黒の切れ上がった瞳が瞠目した。
 その男と雪遙は、いくらか言葉を交わした後、鷹雄へと歩み寄って来た。
 まるで鏡のようだと思った。しかし、鏡なのに映し出された姿は勝手に動いているという、奇妙な感覚がある。
 眼鏡を掛けた鷹雄は、鷹雄の全身を眺めながら嘆息をつく。
「驚いたな。まさかこれほどまでに酷似しているとは」
「それは俺も同様に思っていますよ。ところで貴方も、こちらの世界に迷い込んだのですか?」
「いえ、雪遙を探しに来ました。丁度この辺りに反応が出たので。しかし、もう一人の自分に会ってしまったのは、予想外でしたね」
 その言葉に鷹雄は不安を覚える。
「ドッペルゲンガーということですか? もう一人の自分に会うと死ぬって言われていますよね」 
「ああ、それはただの迷信ですよ。ご心配なく。しかし、俺達のような異世界から来た者にとっては、長時間こちらに留まっていると、少なからず影響があります。それで、そんな噂が流れたのかも知れませんね」
 眼鏡を掛けた鷹雄は落ち着き払っていた。まるで何度もこちらに来た事があるようだ。その疑問を投げかけようとした時、眼鏡の鷹雄は腕時計型の端末機に触れた。すると、人物を囲むように幾つものモニターが浮かび上がる。
「そろそろ空間を繋げる機械も限界に達して来ましたので、俺達はこれで失礼させてもらいます。雪遙がご迷惑をお掛けしました」
 眼鏡の鷹雄は頭を下げる。雪遙もそれに倣い頭をぺこりと下げ、笑顔を向けた。
「鷹雄さん、ありがとうございました! こっちのオレにも宜しく伝えてください。きっと連絡、待ってると思いますから!」
「こちらこそ、ありがとう。君のお陰で、自分の至らない部分がわかったよ」
 鷹雄が雪遙に微笑みかけると、眼鏡の鷹雄は眉を顰め、目を細めた。それを見た鷹雄は悟ってしまった。あれは自分が嫉妬している時にする表情だ。
 きっとこの二人も、近いうちに恋人同士になるだろう。鷹雄は雪遙へ、そっと耳打ちをした。
「彼はもう既に、君に夢中みたいだ。向こうに帰ったら甘えてみるといい。俺は頼られるのが好きな質でね」
 雪遙はそれを聞くと、顔を真っ赤に染めた。そうしているうちに空気が蜃気楼のように揺らめき、いつの間にか二人は姿を消していた。

 
 
 鷹雄は部屋に戻ると、ベランダに出て夜空を見上げる。夢を見ているようなひと時だったと思う。
 もう一人の雪遙に出会っていなければ、恋人を失う所だった。去るものは追わない、いつもの鷹雄ならそうしていた。
 スマートフォンを取り出し、通話ボタンを押す。目線上に複数の星が流れて行った。掌を翳し、それを掴む仕草をすると、コール音が途切れた。



――fin――

※一部、誤字誤用を修正

前回の記事に、拍手をありがとうございました! 励みになってます(´▽`)

私信 O様へ
いつもコメントの返事が遅くて申し訳ないです(´;ω;`)
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やっと言葉が出てきたので6月のお題に挑戦!

こんにちは!^^

今回から、沙色みおさんから倉田沫雨さんへとバトンタッチされたお題SSですが、私も気持ちを新たに参加させて頂きたいと思います。
こうして同士の皆様と交流できる事を、本当に嬉しく思います^^
今まで数々のお題を提供して下さり、尚且つ心細やかなコメントを残してくれた沙色みおさんには、いくらお礼を言っても足りない位です。
本当にお疲れ様でした。そして同人誌のほうも頑張らせて貰いますので、宜しくお願いしますネ*^^人

倉田沫雨さんも新企画で色々と大変でしょうけれど、こんなボケで良かったら協力させて頂きますので、何かありましたら遠慮なく声を掛けて下さいね><///
これからも楽しく続けられたら、こんなに嬉しい事はないですものね^^
ちょっと色々と亀ですが、自分なりのペースでお付き合いさせて頂こうと思います^^;
遅コメでも、引かないでくれると嬉しいです><*


さて、前置きが長くなりましたが、本題へと移らせて頂きますね。
はー、やっと文を打てるまで回復しました^^;
だけど、この話……どうなの? って感じではあるんですけど orz

今回から新主催者さまに代わるにあたり、私もお題SSでは新キャラで挑もうと思います。
そしてこのキャラ達だけで、お題に合ったその場面をSSに仕立て上げたいと思っています。
それなので、お題全体をまとめると、一つの長編小説になるかもしれません^^
……多分、投稿には向かないとは思いますが;;

それでは6月のお題は「雨」です。稚拙な話ですが、お付き合いして下さると嬉しいです!


*********************************************

 ――柳さんの受難な日々――  東堂 竜樹
 


「あれ? 柳さんじゃないですか?」
 聞き覚えのある声に、じわっと汗が滲む。
 柳邦彦はその男と視線を合わせないまま、なんとか場をやり過ごそうと思考を巡らせる。
 ――うっ、嘘だろ、マジか!?
 昨日から徹夜で並んで、やっと手に入れた『マジカルナースエンジェル・リリ』たんのソフト、買った直後に会うか、普通!?
 しかも特典のフィギアとポスター、鞄からはみ出しちゃってるよ!! ……オワタ。終わったわ、俺の人生――。
 いや、待てよ? 普段の俺の姿、コイツ知らないはずだよな? 
 そうだ、まだ諦めるな! どうする?  続きはwebで! じゃなくてシカトだ。逃げるが勝ちだ!!
「ひ、人違いじゃないですか?」
 柳は、普段出さないような高めの声を出して答え、何食わぬ顔をしてその男の横を過ぎようとした。
 途端に腕を取られ、顔をマジマジと見られてしまう。
 柳は咄嗟に頭を振り、下ろした前髪で顔を隠そうと必死になる。
 だが、逆効果だった。突風に煽られ、顔面丸出し状態で固まる。
「ほら、やっぱり柳さんでしょ! やだなぁ、無視しないで下さいよ。こんな所で会うなんて偶然ですね」
「そんな偶然、いりませんから」
 柳は動揺しすぎて、思わず突っ込んでしまった。
「もしかして怒ってます? あ、部長って呼んだほうが良かったですか?」
 にっこりと微笑みかける男――それは会社の部下で、今年入ってきたばかりの高瀬智明だ。「メモを取れ」と言えば写メを撮ってしまう、ゆとり世代丸出しのいかにも今風の髪色が茶で、華奢なベビーフェイス。
 スーツより高校の制服の方が似合っていそうなタイプだ。
 片や柳といえば、きっちりと纏め上げた乱れ一つない黒髪で、銀縁の眼鏡はその切れ長の瞳と相まって、クールさを醸し出していた。背もすらりと高く、目立つ方だ。
 会社では『出来る男』で通していて、アラフォーの一歩手前とは言え、そこそこモテる。
 そんな上司がまさかオタクだったなんて、誰が想像するだろう。
 趣味を悟られないように、会社ではビシッとスーツを着こなしていたのに、今はどこからどう見ても冴えない、無地のTシャツにジーンズという出で立ちの、オッサンに片足を突っ込んだ風貌だ。
 しかもこの界隈は『オタクの聖地』と呼ばれる場所で、その光景にすっかり馴染んでしまっている。
 柳は涙目になりそうなのを堪えて、鞄を後ろ手に隠した。
 まるでゲリラ豪雨にでも遭ったかのように、ダラダラと冷や汗が滴り落ちTシャツを濡らして行く。
 ――ヤバ、ヤバイって!!
 今日はリリたんと一日、心行くまで語ろうと思ってたのに、何だよ! この天国と地獄は!!
 リリたんのお迎え前だったら、家電買いに来たとか、適当に言い訳できたのになぁ……。
 ってか、コイツはそもそも、何しにここまで来たんだ? もしかして……仲間――なのか?
 柳は頭に浮かんだ疑問を口にしてみた。
「た、高瀬君は、どうしてこんな所へ?」
「ええ、俺はipad買いに来たんですよ。前のが調子悪くなっちゃって」
「そうだったんだ。ゲームとか、やりすぎたんじゃないの?」
「そんなんじゃないですよー。妹に貸したら水没させられました。スマホじゃやっぱ不便なんですよね。でも、ノートまでは要らないし」
 その答えに項垂れた。
 ――……ですよねー。どう見てもこっちの臭いがしないもんな、コイツ。
 何ていうのか、そう言うのは勘でわかるんだよな。
 って、悠長にそんな事考えてる場合じゃないだろ、俺!!
 リリたんのこと、何とか誤魔化さないと……。
 後ろ手に回した鞄に、そっと手を忍ばせる。だが、フィギアは箱が大きすぎて隠しようがない。
 もぞもぞと不審な動きをしていたせいか、高瀬がそれに気が付いた。
「柳さんも買い物ですか?」
 ビクリと身体を硬直させて、必死に笑顔を作る。
「あ、ああ、うん。そうなんだよ。僕もね、ちょっと……。あ、もうこんな時間だ! それじゃ僕はこれで!! 」 
 柳は後ろを見られないように、高瀬の横をカニ歩きしながら鞄を前に抱えると、ダッシュで駆け出した。
「えっ、ちょ! 柳さん!? 待って下さいよ!」
 制止する声もお構いなしに走り抜けようとしたが、運悪く縁石の段差に蹴躓いてしまい、派手に転んでしまった。
 前方に鞄から飛び出たフィギアの箱が転がる。柳は慌てて立ち上がろうとしたが、眼鏡が吹っ飛び、視界がままならない。
「め、眼鏡……」
「何してるんですか、もう! 柳さんがこんな豪快にコケるなんて、びっくりしましたよ。はい、眼鏡と……」
 後を追ってきたのだろう高瀬が、眼鏡と鞄、それに……フィギアの箱を抱えていた。
 柳の頭の中で、自分が二時間サスペンスドラマに出てくる、崖に突き落とされるチョイ役と重なる。お決まりのBGMが脳内をヘビーローテーションした。
 ――乙! 俺の人生!!  よくやった、今までよく頑張った!!
 完全に『終了のお知らせ』キタ、コレだよ……。
 四つ這いになったまま項垂れる姿は、掲示板などで見かける記号『orz』そのものだ。
 柳は声にならないような、か細い声で礼を言う。
 高瀬はじっと箱を見つめ、小ぶりの口の端を上げた。
「……柳さんって、こういう趣味があったんですね?」
 柳はぐっと薄い唇を引き結ぶ。まだあのBGMは鳴り止まない。
 ここで素直に認めたらその噂はあっという間に広がり、『出来る男』から一気に『キモオタ』へと転落を遂げるだろう。
 そうなったら今まで従順だった部下に、鼻で笑われるのがオチだ。
 その時、柳は閃いた。これなら言い訳になる。
「あ、いや! 姉の子供がね、そのアニメの大ファンで!! 今日は家族で出かけるから僕に取りに行って欲しい、って頼まれたものなんだよ! 本当に人使いが荒くて困る姉で」
「あ、そうなんですか? 柳さんも大変なんですね」
 柳はぐっと握り拳を作り、ほくそ笑んだ。
 ――よっしゃ、イケる !!  これで危険は回避できた。
 後はこのまま家に帰れば、何事もなく明日も快適に仕事が出来るぞ!
 上がった口許を見られないように、俯き加減でジーンズに付いた土埃を払いながら立ち上がり、高瀬からそれらを受け取った。
 眼鏡をかけると箱からカランと妙な音がして、フィルム越しで中を確認すると、フィギアの首は無残にも箱の下へと落ちていた。
「ッリ、リリたーーーーーんっ!! 」
 柳の雄たけびは、辺り一面に響き渡った。
 高瀬はアーモンド型の瞳を大きく見開き、呆けた顔をした後、腹を抱えると笑ってその場に蹲った。
 ハッと我に返った柳は、蹲っている高瀬に視線を落とす。
 頭の中では、仏壇に置いてあるような鈴の音が『ちーん』と音を立てる。
 ――やらかしたな、俺……。
 もう、完全にオワタ――。
 茫然自失で立ち尽す柳に、高瀬はひとしきり笑った後、声を掛けた。
「いや、柳さん面白いですね! ますます気に入りましたよ」
「――はい?」
 高瀬は意味ありげに、口の端を上げた。
「柳さん、俺と取引しません?」
「な、何を言い出すんだ? まさか強請り……とか?」
 柳は眉を潜ませ、自分より数センチ低めの目許を睨み付ける。
「そうですね。強請りといえば、そうなのかも。俺もあんまり大っぴらに出来ない秘密がありましてね。それに協力してくれたら、この事は内緒にしてあげますよ」
 ベビーフェスのくせに、肉食獣のようにも見える眼差しを向けてきた。
 高瀬の意外な一面を見た柳は、ゴクリと固唾を飲む。
「……で、僕に何を協力しろと?」
「これから付き合ってくれません?」
「付き合うって……どこに?」
 柳の質問に、高瀬はクスッと笑う。
「本当に会社とは別人みたいですね。そんな所も可愛くて好きですよ」
 そのセリフに柳は首を傾げた。
 ――ってか、どっちかって言えば可愛いのは、お前の方だろう?
 お局達からチヤホヤされてるし。コイツの目はおかしいのか?
 思考を廻らせていると、高瀬はそれを察したのか
「あ、俺はこう見えてバリタチなんですよ。柳さんって美人で好みなんですよねー」
 ますます言っている意味が理解出来ない。
 柳は思ったことを口にした。
「バリタチって……あの魚の? よく味噌汁とか、天ぷらとかで食べるやつ? それを僕にご馳走しろと?」
 高瀬は思いっきり息を噴出し、蹲って独りごちした。
「あー、やっぱいいわ! めちゃ好み」
 柳の頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされた。高瀬はクスクスと笑いながら柳の腕を引き、耳許で囁いた。
「違いますよ。タチって言うのは、同性間の関係で使う用語で、抱く側。つまり俺はゲイで、柳さんとそういう関係になりたいって事です。オタクなのにそう言うのは疎いんですね?」
 柳は目の前が真っ白になった。
 ――ちょっ!!  なに言っちゃってんの、この人!! って事は、俺と付き合いたいってことか!?
 しかも俺が抱かれる側って……冗談じゃない !! それじゃなくても俺の人生の大半はリリたんに捧げてたんだ。女もろくに抱いた事がないのに?
 いや、ないわー、マジ勘弁だわー。
 柳は高瀬の腕を、さりげなく振り払う。
「あのね、高瀬君。あいにく僕にはそういう趣味は……」
「じゃあ、毎日このアニメのグッズ、会社のデスクの前限定でプレゼントさせて貰いますから。勿論、包装は全部外して。嬉しいでしょう?」
 不敵に笑う高瀬に、言葉を詰まらせた。
 ――これってピンチ、だよな? え、なに? この死亡フラグ。勝てる気がしないんですけど……。
 柳は頭を抱え、その場に蹲った。
 脳内では、痔によく効くと言う宣伝の画像が浮かんでは消えて行く。
「で、どうします? 俺、大切にしますよ、柳さんのこと」
 しゃがみ込んだ高瀬に熱っぽい視線を送られ、涙目になる。
 ――どうするもこうするも……強制、だろ? 付き合うって言わないと、バラす気満々だよ、コイツ。
 柳はガクリと項垂れた。高瀬はそれを返事とみなしたのだろう、機嫌の良さそうな声が頭上から聞こえた。
「それじゃよろしくお願いしますね、柳さん。あ、今日から邦彦さんって呼んでいいですか?」
「――会社では呼ばない、って言うなら……」
 こうして柳は、高瀬と付き合うことになってしまったのだった。


 ――to be continued――

*********************************************

え~……、思いっきりコメディです、はい^^;
だって、このお題ならきっと同士の皆様があま~いお話とか、切ないお話とか、萌え萌えキュンな話をきっと書くに違いないと思いましてね。(まだ皆様のSSは拝読していないので……だってヘコむんですもん、皆さんの作品が素敵で眩しくて;そうなったらまた文が書けなくなりそうだったんですよ;;)
そんな皆様にこの私が敵う筈がない!!←断言
なら、自分の得意分野で行ってみようかな~と^^;
でもスベっていそうで怖い……orz ってお題が入ってるのわかりにくい><;;;
そんな話ですが、ちょっとでも笑って頂けたら幸いです^^;;;

という事で、ジャスト4000文字でした!
では、お付き合い下さり、ありがとうございました^^*

毎回、応援ポチ嬉しいです! 拍手もすっごく励みになってます!!
いつもありがとうございます^^*
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テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

5月のSS「薔薇」「窓」「嫉妬」

私の中で、沙色みおさまのお題が恒例となりました(笑)
SS書くのって難しいですけど(私はほとんど長編になってしまうので;)本当にこれはいい企画だと思います。
練習にもなりますし、皆様の素敵SSも読めるという、まさに一石二鳥!

ですが、ヘタレな私はいつも皆様の素敵SSのコメントを残せず……orz
しかもタイミングが悪くて、出遅れてばかりで、拍手を送るのがやっとです;;
読み逃げしてごめんなさい><;;
でもでも、とっても楽しみにしてるんですよ^^*

で、話は変わりますが。
即興で書いたので、誤字脱字その他諸々酷いかと思います。
今回のSSには別館のキャラに登場して貰いました……っていうか出せ!ってキャラに脅迫されました←
そうだよね、投稿用にかまけてたから更新も全然してないし;;
別館の話は物凄く痛いので、本当はあんまり出したくないんですが^^;

という訳で、今回はちょっと痛い話かも知れません><
今回はベースがあるので2104文字でした。
興味のある方のみお進み下さい><;;;



*********************************************

 ――夢でも――  東堂 竜樹


 
 愛しい相手が微笑んでいた。
 ずっと逢いたくて、逢いたくて――だけど、その願いは叶えられないと思っていた。
 嬉しさが溢れ出し、俺は駆け出していた。
「……涼太」
「お帰り、隼人」
 真っ黒な瞳で見上げるその頬に触れようとして、目が覚めた。
 何の変哲も無い無機質の天井が目前に広がる。
 ――夢、か……。
 俺は落胆の息を漏らし、ゆっくりと周りを見回した。
 またどこかのホテルに移動させられたのだろうか、眠りに堕ちる前とは部屋の様子が違う。
 そしてまだ人の温もりが残ったシーツの隣に、奴の姿は無い。
 安堵の息を漏らし、思うように動かない身体を必死に動かして、上体を起こした。
 すっかり伸びきった髪が邪魔で仕方が無い。俺はその邪魔な髪を耳にかけて小さく息を吐く。
 開け放たれた窓からそよぐ風が、カーテンを揺らしている。
 ぼんやりとそれを眺めていたら、ドアをノックする音が聞こえた。
 返事なんかしなくても、あいつは勝手に入ってくる。ドアノブがガチャリと音を立てた。

「あ、起きたんだ……じゃなくて、起きたんですね? 桜井様」
 花瓶から溢れるほどの真っ赤な薔薇を抱えながら、坂上はそれをサイドテーブルに置いた。
 むせ返るほどの匂いに、吐き気すら催す。思わず手で口と鼻を覆った。
 俺のそんな態度を気にもせず、坂上は口を開く。
「吉岡様は、もう日本に戻られましたよ。代わりにこれをって」
 こいつと話をするのさえ忌々しい。
 あの吉岡とどんな関係か知らないが、陳腐な主人様ごっごもいい加減にして欲しいものだ。
「……要らない」
 一言話して、俺はまたベットに横になった。
 たった数分、起きているのさえ辛い。じっとりと嫌な汗が額を伝う。
「そんな我侭、言わないで下さいよ。せっかく吉岡様が用意してくれたのに」
「……あいつが帰ったんなら、そんな気持ち悪い言葉使いするなよ」
 坂上はフと鼻で笑い「それもそうだな」と呟いた。
「なぁ、桜井。折角、晃さんが用意した花だ。見るくらいしてやったらどうだ?」
 あの吉岡が用意したと思えば、余計に気分が悪くなる。
 そう思いながら返事をせずにいると、坂上は舌打ちした。
「あのさぁ。お前、自分の立場分ってんの? あんまり酷いとさ、キタローがどうなるか知ってるよな?」
 坂上の言う『キタロー』――俺の恋人だった涼太の事だ。
 坂上と俺と涼太は、高校で最初の一年だけの同級生だった。『キタロー』は片目だった涼太に付けられたあだ名だ。
 涼太と俺は十年という歳月を経て、事故で逝った妹に説教されてやっと互いの気持ちに気が付き、それから付き合うようになった。
 だが二人でいた幸せな時間は、吉岡晃という俺の上司だった、いかれた狂人によって引き裂かれた。
 吉岡は坂上とは、どうやって知り合ったかなんて知らないが、変な巡り会わせで再会する事となった。涼太の事を馬鹿にしていたこいつとは、出来れば一生会わなくても良かったくらいだ。

 坂上は大きな溜息をわざとらしく吐き、言い放つ。
「晃さんも、どうして桜井なんかに入れ込むかなぁ」
 それは俺が聞きたいくらいだ。
 俺を薬漬けにして、坂上を下僕のように扱い世話をさせるなんて、全うな人間のする事じゃない。
 そんな奴に見初められるなんて、涼太がいなかったら今すぐにでも命を絶ってしまいたいくらい、屈辱意外の何者でもない。
 拉致されてからもう、どれくらい経っただろうか。薬のせいで記憶が曖昧だ。
 それにしても吉岡は、何の目的で坂上を囲っているのだろうか。俺だけがいればいいと常々口にする吉岡の思考回路が、全く理解出来ない。 
「お前がいるのにな」
 疑問が口を付くと、坂上の顔色はみるみる赤く変化して行く。
「うるせぇ! 俺だってそうなれば良かったと、何度思ったか分んねぇよ!!」
 嫉妬に歪んだ顔を向けて、花瓶の薔薇の花を数本握ると、俺に投げつけた。それでは気が済まなかったのだろう、更に言葉を続ける。
「お前はいいよなっ!! 何もしなくてもただ居れば良いんだもんなっ!! 俺だってもっと綺麗に産まれてたら、こんな惨めな思いなんかしなくても良かったんだっ!!」
 息を荒げ、その三白眼の瞳には薄らと涙を滲ませていた。
 だが同情なんて微塵も起きない。代われるものならいつでも代わってやる。そう言ってやろうかとも思ったが、ただ煩く吠え立てるこの男が、早く部屋を出て行けばいいと思っていた。
 布団に潜り込み、無視する事にした。その途端、体中が軋み喉が異様に渇き、そのうち悪寒が起きて全身がガタガタと震えだした。
 ――くそ、まただ。禁断症状が……。
 抑えられない発汗をどうにも出来ず、パジャマがじっとりと濡れてしまう。
 それに気が付いたのだろう、坂上は
「……今、打ってやるから。ちょっと我慢してろ」
 そう言って部屋を出て行った。
 
 もう絶望しかない。抗う事も出来ない――。

 涼太、お前はこんな俺を笑うだろうか。
 お前を護ろうとして、だらしなく堕ちた俺はもう、人としての尊厳すら失ってしまったようだ。
 
 それでも――――。
 お前に逢いたい。この手でお前を抱きしめたい。
 それがもう、叶わないと事だとは知ってる。
 だから夢でも、お前に逢えて良かった。
 約束、守れなくて……本当にごめんな、涼太。
 もうこんな俺の事は忘れて、幸せになれよ――――。

 
 FIN

*********************************************


ああ、痛い……orz
すみません、こんな話で;;
前回のSSはリア友から「サラダ、サラダ……で、最後は飴玉、しかも物凄く小さい奴ねっ!!」って評価を頂きました、ありがとうございました(号泣)
なのに今度は塩飴だよ。もう思いっきり迷走中ですね;;

それでもう一つ、リア友からリクエスト貰った話をどうしようか悩んでいます。
擬人化したものの話で、この話とは全く真逆のコメディなんですが……内容があまりにもお下品なので(爆)そんなの載せられっか!って、拒否ってるんですがw
それでも読んでみたい……なんて奇特な方なんかいらっしゃるんでしょうかね?
もし居るんでしたら、頑張ってみようかとおもいます(笑)

それでは稚拙な文を読んで頂きまして、誠にありがとうございました!
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何とか間に合った4月のSS

今晩は!
花○様への作品は、無事発送を済ませて来ました^^*
ふぃ~、終わった!! 
と思って、もう一度作品を眺めていたら、間違いがあって魂抜けかけたよ^p^
どうにかしようよ、マジで。私の頭さんよ。
『パチンコ屋』じゃねーだろっ! セリフで言うならともかく、地の文でそれはダメだろっっ!! 『パチンコ店』だろがっ!!!!!!!
――ああ、口癖って怖いですよね……orz
取り返しに行きたい><;; でも、もうお空の上なのでムリムリ……ああ、マジですか。
と、クヨクヨしてても始まらないので、気分を変え(笑)今月のお題のSSが、何とか仕上がったのでお披露目をば。

新しいキャラでも出そうと思ってたんですが、ちょっと考えるものがありまして。
まだ話も出来上がっていないのに、いきなりネタバレしちゃう^^;;;;;
これは創作意欲が激減する可能性が大なので、やめておきました。
それで花○様に投稿した作品に出て来るキャラの、スピン・オフになりました。

4月のお題は「青空」「初恋」「南風」です。沙色みお様が主催するお題はいつも、創作意欲がムクムク沸いて来ますね!*^^b
今回は文字数だけだと4000字ジャスト!!
……どんどん長くなっていくのは、気のせいですか?^p^
SSってこの半分くらいに収めなきゃなんでしょーね、きっと><;;
だけど、それじゃ誰が何言ってるんだか分らなくなっちゃう……。
精進あるのみですね><;

前記事にも書きましたが、結構皆様と被ってます><;; でももう思いつかない……orz
それでは、拙い文ですが、読んでくれると嬉しいです^^*


*********************************************

――夢駆ける空――

 いつも通りの、いつもの部屋。
 会社と、このアパートをだた往復する、なんの代わり映えもしない日常。
 何が楽しくて生きてるのかすら分らなくなる。
 そんな折、一通の葉書がポストの底の方に埋もれていた。
 裏を見ると、よく知った名前が載っている。
(へぇ。あいつ幹事なんだ)
 その名を目にしなかったら、行く気にもならなかっただろう。
 翌日、往復葉書の『出席』に丸印を付けて、郵便局前のポストにそれを放った。


 それから一ヶ月程度が過ぎ、同窓会が行なわれる日がやってきた。
 繁華街はいつも賑やかだ。
 この世のしがらみを忘れさせるような竜宮城の如く、幻想的で怪しい光を放っている。
 優雅に漂う魚のような行き交う人の雑踏を避け、目的地を目指した。
 同窓会の会場に指定された居酒屋の暖簾を潜り、引き戸をスライドさせると店員が声を掛ける。
「いらっしゃいませ! お一人様ですか?」
「いや。『青空 大地』の名前で、予約入ってると思うんだけど」
「はい! こちらにどうぞ」
 店員は笑顔で、店の奥にある座敷へと案内する。
 まだ時間も早めだったせいか、大地と数人がいる程度だ。
「よー、久し振り! 元気にしてたか? 篤志」
 相変わらず名の通り明るい奴だと思いつつ、篤志は大地に笑顔を向ける。
「まぁな。お前は相変わらずそうだな」
「おー、オレはいつでもこの通りだ」
 陽気な大地の笑い声が会場に響く。
 挨拶を交わしていくうちに、メンバーが集まったようだ。
「おし、集まったみたいだな。んじゃ始めますか!」
 大地はジョッキを挙げると、乾杯の音頭を取る。
「え~、本日はお日柄もよく……なんちって! さ、みんな飲んで騒ごうぜ! 乾杯!!」
 ドッと笑いが起こった後に乾杯の歓声が響き渡ると、久し振りに顔を合わせた旧友たちと酒を酌み交わす。
「おお、柚木。久し振りじゃん! 足の調子はどうだ? まだサッカー続けてるのか?」
 元クラスメイトに声を掛けられて、口を開こうとした途端、大地が割って入ってきた。
「篤志、会社どうよ? なんか営業のホープだって噂、聞いたぜ?」
「そんな大したもんじゃないよ。まあ、そこそこかな」
 大地と話していると、そのクラスメイトは他の所へ移動した。
 高校からの同級生で大学まで同じだった大地は、篤志とは分野が違えども良きライバルでもあった。
 大地は野球で活躍し、篤志はサッカーに励んでいた。
 県内でも強豪のチームのキャプテンをずっと任されるほどの実力と実績を誇っていた篤志だったが、全日本大学サッカー選手権大会に出場した時に靭帯を損傷してしまい、残りの二年をマネージャーとして過ごした。
 夢を諦められずにリハビリに励んだが、結局元に戻る事なく選手としての道を諦めた。
 その後は通信系列会社に就職し、もう四年という月日が流れていた。
 それを知っている大地は、気を使ってくれたようだ。相変わらずのその優しさも変わらない。
「そういう大地はどうなんだ? 随分騒がれてるみたいだけど?」
「いやいや。まだ移籍したばっかだし」
「移籍してすぐ登板なんて、そうそう無いだろう。やっぱお前、凄いよな。ここの店員も、お前の名前出したらすぐ分ったみたいだし。まあ姓名が珍しいってのもあるだろうけど」
 篤志がそう言うと、大地は困ったように微笑んだ。篤志は大地が、自分だけが活躍していて返答に困っていると思い、
「ああ、俺の事気にしてんなら、余計な気は使わなくて良いから。俺は俺でそこそこ楽しんでるし、サッカーだけが人生じゃないからな」
「ん、そっか。それ聞いて安心した。お前まだ、引きずってるんじゃないかと思って」
「はは。そんなナメクジじゃあるまいし、いつまでも引きずってなんかいないって」
 それを聞いた大地はぶっと噴出すと、クスクスと笑う。
「だな、篤志にそんなジメジメは似合わない。おし、飲むか!」
「おう。また俺に負けないようにな?」
「なにを!? よし、勝負だ」
 大地はそう言うと、ジョッキのビールを飲み干す。負けじと篤志もビールを煽った。

 同窓会もお開きになり、篤志は酔ってフラフラの大地に付き添って、『海の見える丘公園』のベンチに座っていた。
「だぁーからー、言わんこっちゃない!」
 篤志は隣に座る大地に視線を落とす。
「……ごめ、うぷ……」
「おい、大丈夫か? ほら、水」
 ヘロヘロになっている大地に、ペットボトルを渡した。それを受け取った大地は、蓋を開けると顔面に注ぐ。
「ばっ、馬鹿! お前、何やって!」
 篤志はポケットからハンカチを取り出すと、大地の高い鼻梁に押し当て、丸っこい目の周りをゴシゴシと拭う。
「ぶはー! 目ぇ醒めたわ~」
「あのなぁ、目どころか、服にまでかけてどうする?」
「大丈夫、だいじょうぶ。そんなのすぐ乾くって」
 海からの南風が、穏やかに夜の公園を吹き抜けていく。
「相変わらず、無茶するなぁ、お前」
 篤志の言葉に、大地は俯いた。気分が悪くなったかと思い、背中に手を当てると大地は首を横に振る。
「大丈夫か?」
「……ああ」
 先程とは打って変わった様子の大地に、篤志は戸惑った。大地は短めの黒髪から水を滴らせ、ほつりと呟いた。
「オレ、篤志の気持ち、分かったわ」
「……は? 何が?」
「オレさ……もうマウンドに上がれないんだわ」
 大地の発言に驚いた篤志は、その場に立ちあがった。
「っ!! だって、お前、移籍しても登板してただろう!! 何があった!?」
「肩……やっちまってさ。移籍する前からその兆しがあったんだけど、それを隠してたら篤志の言う通り、無茶が祟った」
 篤志は何も言えずに、その場に佇んだ。大地は篤志を見上げると、力の無い笑みを浮かべる。その顔を見たら、胸が締め付けられた。
 怪我を負った時、励ましてくれた大地。あの時の力強いこげ茶の眼差しは、今はこんなにも沈み切っている。
「――でも、リハビリすれば……何とかなるんじゃないか?」
「はは……そんなの、篤志が一番よく知ってるだろ? ……かなり厳しいって言われたよ」
 篤志は大地の前に立ち両腕を掴むと、視線を合わせた。
「まだ諦めるのは早い。やってみなくちゃ分らないだろう」
「……もう、無理なんだ」
 大地は視線を落とし、無言になる。篤志は大地を励ました。
「そんなのお前らしくない! 今までだってピンチを乗り越えて来ただろう!! そんな事で挫けるな!!」
「…………」
「お前の実力は、世界が認めたんだ。こんな所で腐ってる場合じゃないだろう?」
 大地は篤志を見上げると、眉根を寄せて寂しそうに笑う。
「篤志に……逢えて良かったよ。実はオレ、ずっとお前に逢いたかった。お前に話せば、こうやって励ましてくれるんじゃないかって、ずっと思ってた」
「馬鹿だな。電話でも何でも、してくれば良かっただろう? わざわざ幹事まで引き受けなくたって……」
「いや。直接、逢いたかった。逢って……話したかったんだ」
「そうか。俺で良かったら、いつでも話くらい聞くから。携番変わってないし、暫くこっちにいるんだろう?」
 大地は篤志から視線を外し、俯いた。
「それとも、もう戻らなくちゃいけないのか?」
 その問いに大地は首を横に振る。
「――移籍したばっかりだけど、引退しようかと思って……」
 弱気になっている大地に、篤志は両腕に力を篭めると活を入れる。
「馬鹿な事を言うな!! お前はこれからだろう、諦めるな!!」
 大地は篤志を見上げると、今にも泣き出しそうな顔を向けた。
「お前は……強いんだな」
「俺は……強くなんかない。結局、やめちまった身だから……。だから、せめてお前にだけは、夢を諦めて欲しくないんだ」
 篤志は大地の努力を知っていた。野球選手としては小柄の、身体能力を高めてそれをカバーしていた。毎日泥まみれになりながらも、遅くまで練習していた姿が目に浮かぶ。
「……あんなに頑張ってたじゃないか」
 大地は懐かしそうに目を細めた。
「オレ、ずっとお前に憧れてた。隣のグランドで駆けてるお前は、まるで羽が生えてるみたいだった。それがあの試合で、もう見られなくなって……寂しかったよ」
 篤志は大地の思いを聞き、胸が痛んだ。膝が故障してもずっと続けようと思い、今も身体は作ってあるが、やはり長時間のプレイは厳しくて足が悲鳴を上げる。
 だが、もうそんな事は言っていられない。有望な選手が、その生命を終えようとするのは、見るに耐えられなかった。
「……分った。それじゃ俺が復帰したら、お前も頑張るか?」
 篤志の言葉に、大地は目を瞬(しばたた)かせた。
「え、だってお前……。そうしたら膝が……」
「だから。リハビリに通って、どっちが先に復帰するか、勝負だ」
 篤志は大きな口を開けてニッと笑った。初めはきょとんとしていた大地だったが、徐々にその顔を綻ばせると端正な唇を上げ笑顔を向ける。
「……分った。勝負な!」
 篤志は握り拳をすると、大地に向ける。それを受けて大地は掌を広げて応えた。パシッと乾いた音が辺りに響く。

 成田空港のロビーは、連休の終わりでごった返していた。
「じゃあ、頑張れよ!」
「ああ、お前もな?」
 大地の瞳はもう、あの夜のようにくすんだ色をしていない。力強く、真直ぐに篤志を見上げる。
 篤志は笑顔を向けると、大地を見送る。その背中から羽が見えた気がして目を擦った。
 大地は暫く歩いたのち振り返り、篤志に向かって何かを呟いた。その口許に注目した時、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされる。
(……そういうことは、先に言えよ)
 篤志は太い眉を下げて微笑み、大地の遠くなる背中をいつまでも見送っていた。

 ***

 初夏の空は、どこまでも青く澄んでいる。
 今頃、大地も同じ空を見上げている事だろう。
 思えば篤志の初恋は、この青空のように澄み切った大地だった。
 その名に相応しい、爽やかで努力家の少年。
 初恋なんて実らないと思っていた。しかしあの日、大地が告げた一言が篤志を変えた。
『す・き・だ』――。
 色々恋もしたけれど、もう迷わない。忘れかけていた情熱を、再び胸に宿す。
 篤志は土埃の中でボールを追いながら、大地の真直ぐな瞳を思い出していた。

 
 Fin

*********************************************

補足的な説明を(笑)
この「篤志」は、本編では苗字しか出てません。
だけどね、ちゃんと名前は付けていたんですよ「柚木 篤志」って。
でも四人構成ではそれではゴチャゴチャになると思ったので、出しませんでした。
だって当て馬だもの←酷い作者wwwww
まあ、ここで昇華したので、許してくれるでしょう(笑)
椎名じゃなくても、これから君は幸せになれる、うん。ちょっと漫画ちっくな名前の人だけど(爆)←ネーミングセンス、ゼロw

それでは読んで頂きまして、ありがとうございました^^*
前記事に拍手もありがとうございます!!

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三月のお題SS「桜」「卒業」「約束」

今晩は、竜樹です。

はぁ、ウチの息子も卒業を迎えましてね~。15年ってあっと言う間ですね^^;
明日はドキドキの試験結果……っ!! 無事に桜が咲いて欲しいものです><
さてさて、そんな話は置いといて(笑)

今月のお題、やっと仕上がりました。
なんかスランプだったらしく、思うように言葉が出てこなくて、うんうん唸ってました><
絵では何度もスランプに見舞われましたが、文章では初めての経験で、ブログの文すら書けないとか……orz

スランプって、今の自分に納得してないから違和感を覚えて陥るそうです。
そう言う意味では、きっと転換期だったのでしょうね。
いい方向に脱出してくれてると良いんですけど><;;

今回は、2796文字でした。
あ、前回の字数出してなかった(笑)
前回は3795文字だったみたいです←今、計算してみた
おや? 思っていたより前回の方が長かったようです^^;;
そして前に、投稿作品として紹介した二人に、登場して貰いました。
本編を読んでいなくても、分るように書いたつもりです^^;

それでは、まだスランプを引きずっている感が否めないですが、読んでくれると嬉しいです^^*

********************************************

――二つの約束――


 春の陽気が漂う午後の日差しの中、少しだけ開けていた窓から、突風で舞い込んだ何かに黒猫のシウがじゃれ付いた。
 得意顔で「ニャ」と短く鳴くと、椎名恭輔の前に座り床にそれを置く。
「ん? シウ、何捕まえた?」
 椎名はシウの頭をひと撫でしてから、蝶でも捕まえたのかと床に視線を落とす。
「あ……。桜の花びら、か」
 屈んで床に手を伸ばし、淡い紅色の花びらを拾い上げ掌に乗せると、またも突風が起こり薄茶の髪を巻き上げながら、次々と花びらが部屋の中に舞い込んで来た。
 その瞬間、椎名の脳裏に遠い記憶が、鮮やかに蘇る。



 それは高校の卒業式のこと、三年間ずっと片想いをしていた、相崎橙弥(あいざき・とうや)と交わした約束。
『離れても、ずっと友達でいような。恭輔!』
 屈託の無い笑顔を向けられ、椎名は薄笑いを浮かべて何も言えずに頷いた。
 橙弥に想いを寄せている椎名にとって、それは残酷な言葉だった。
 しかし、親友として過ごして来た同性である橙弥にとっては、ごく自然で当たり前な事。
 分り切っていた事だから、と、椎名は拳を握り、橙弥の高く挙げた掌に当てる。
 向けた視線の肩先に、桜の花びらが映ると、それを無意識に手に取った。
『お、桜の花びらか。いかにも卒業式って感じだよな』
 橙弥は椎名が触れた事を気にもせず、咲き誇る大木を見上げる。
 触れた指先は、熱を持ったように熱く感じていたのに、橙弥は至って普通だ。
 その事実が、椎名の胸の内を冷たく、じわじわと締め上げていく。

 息を弾ませ、サラサラと艶やかな長い茶髪を揺らし、駆け寄る影が目の端に映る。
『とうや~! 一緒に写真撮ろうよ!』
『あ、美来(みく)。遅ぇーよ』
 満面の笑顔を向ける橙弥に、椎名は哀切を覚えながらも必死に笑顔を作り、掌の花びらを握り締めた。
『じゃあ、二人でそこに並んでよ』
 声を掛けられるより早く、自ら撮影役を買って出ると、橙弥と美来は嬉しそうに微笑んだ。
 しかし、美来は悪いとでも思ったのだろう、椎名にも声を掛ける。
『恭輔は? 最後だから一緒に撮ろうよ、ねぇ橙弥』
『そうだよ。タイマーかけてさ』
 ――自分はただのオマケに過ぎない。
 その写真を見るたびに痛感するであろうと予測した椎名は、首を横に振った。
『オレは良いからさ、並んで?』
 美来からデジタルカメラを受け取り、液晶画面越しに二人の仲睦まじい姿を見せ付けられると、桜の花びらを握りこんだ掌に一層と力が増す。

 二人の姿が遠くなる頃、握っていた拳を開いてみると、鮮やかだった薄紅は色を変えて、その原型を留めていなかった。
 最後まで言えなかった『好き』の一言。
 言ってしまえば、この花びらのように色を変えてしまうだろう。
 これで良かったんだ。友達のままでいた方が、まだ傍に居られるから――。
 椎名は深い溜息を吐き、花びらをそっと放った。



「恭輔、どうした? 花びらなんかじっと見つめて……」
 ハッとして甘やかな低音した方向に視線を向けると、長身のシルエットに艶やかな黒髪が揺れていた。
 心配そうに見つめられ、椎名は首を横に振る。
「いや、何でも……。もう、そんな季節なんだな、と思って」
「そうか? 何か、物思いに耽っているように見えたから」
「ん。ちょっと昔の事、思い出しただけ。あ、修二、腹減ったろ? 何か……」
「ああ。それなんだけど、たまには外で飯、食おう? ちょっと資料の写真も欲しいと思ってたんだ」
 世界に名を馳せる童話作家『紙条修(かみじょう・おさむ)』が、椎名の現恋人。本名は上谷修二(かみや・しゅうじ)だ。
 上谷とは橙弥の結婚祝い席の、飲み会で知り合った。付き合う切っ掛けになったのが、上谷からのナンパという、決して胸を張れるようなものではなかった。
 その上、上谷は一癖も二癖もある、厄介な性格の持ち主だった。――だった、と言う事は過去形。紆余曲折した過去を乗り越えて、今は誰よりも強い絆で結ばれている。
 上谷の鋭かった漆黒の眼差しは、今では嘘のように穏やかだ。慈愛に満ちた眼差しを向ける先には、常に椎名の姿がある。
「そうだね、たまには一緒に出かけるのも悪くない」
 椎名は満面の笑みを上谷に向けた。

 行きたい所がある。
 そう告げられて場所も分らないまま、電車を乗り換えて着いた先は、潮の香が満ちて穏やかな濃紺が砂浜を濡らしていた。
 春先という事もあってか、夏になると人でごった返す海は、人も疎らで少し肌寒さを感じた。
 近くのレストランで食事を済ませると、上谷は海辺一帯を散策しながら、小さな液晶画面にその光景を収めていた。
 椎名は邪魔にならないようにと、砂浜で波を眺めていた。寄せては返す穏やかな光景は、徐々に色を変えて鮮やかな夕日に染まっていく。
 あたり一面のオレンジ色は、橙弥の橙という字を髣髴させた。
 またも甘く、切ない思い出が蘇る。
 椎名は穏やかな笑みを携えて、首をふるふる、と、横に振った。
 あの時、言えなくて良かったのだと思う。
『友達でいよう』と言う約束を守ったからこそ、こうして上谷と出会えたのだ。
 あれはもう、遠い思い出――。
 椎名は吹っ切れた様子で、その場に佇んでいた。
 撮影を終えた上谷が椎名の許に戻ったのは、太陽がもう地平線に差し掛かる頃だった。

 潮風が吹くと、まだ寒さを感じる。首を竦めると不意に手を引かれ、上谷のコートのポケットの中に、椎名の細い指が招き入れられる。
「ばっ……! 何して!」
「震えてるくせに、強がるな」
 上谷はそう言うと、そのまま歩き出す。
 強引なのは今も昔も変わらない。そんな上谷だからこそ椎名は惹かれたのだが、やはり人気が無いとは言え周囲が気になる。
 きょろきょろと落ち着き無く、周りを見渡す椎名に
「堂々としてればいい。お前はおれの恋人なんだから」
 椎名は長い睫毛を瞬かせ、上谷を見上げた。
「いや、だって……」
「それとも何か? おれじゃ不満か?」
 悪戯な黒い瞳に、椎名は呆れた振りをしながらも、嬉しさで満たされていく。
「……別に、不満じゃない」
「全く、素直じゃないな」
 上谷はそう言って、クスっと笑った。

 ふと、繋いだ手に違和感を覚えて、椎名は上谷のポケットから手を出した。
 握っていた掌を開けて見ると、小さな薄紅色が顔を覗かせる。
「……あ」
 思わず小さな声で呟くと、上谷は椎名を見下ろし、満足気な笑みを浮かべる。
「さっき、見つけたんだ。花は枯れるけど、それならずっとそのままだ」
 上谷は先程の椎名の様子を、気にかけていたのだろう。
「……うん。そうだね」
 ずっと、そのままの形で――このまま恋人でいよう。
 そう言われたような気がして、椎名はそっと薄紅色の小さな桜貝を握りこんだ。
 その手を優しく包む大きな手が、またポケットへと導く。
 長い指が椎名の小指に触れると、『指きり』の形で繋がれた。
 ただの偶然なのかも知れない。それでもそれは椎名の胸に、約束として深く刻まれた。
 寒かった筈の身体が、心音の高鳴りと共に上気して行く。
 いつしか椎名の頬も、桜色に染まっていた。
 

FIN

********************************************

桜オンパレード状態でしたが、多分、お題は消化されてるんじゃないかと(笑)
それでは拙い文を読んで頂きまして、誠にありがとうございました!><///

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竜樹

Author:竜樹
BL小説家を目指しています。
いないとは思いますが、ブログ内の記事、小説、画像の無断転載、お持ち帰りは固くお断りしてます。
ご了承お願いします。

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